大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和38(オ)936 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を大阪高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人山下直次、同復代理人山中康雄の上告理由は、別紙上告理由書記載の

とおりである。

しかし、職権を以て案ずるに、およそ確認訴訟は、特段の規定のないかぎり、現

在の権利または法律関係の確認を求め、かつ、これにつき即時確定の利益がある場

合にのみ許されるべきものであつて、単に過去に存した法律関係の確認を求めるこ

とは許されないところである(昭和三〇年(オ)第九五号同三一年一〇月四日第一

小法廷判決・民集一〇巻一〇号一二二九頁、昭和三〇年(オ)第一九八号同三二年

一一月一日第二小法廷判決・民集一一巻一二号一八一九頁各参照)。ところで、被

上告人らの本訴請求は、要するに、被上告人らと上告人との間に昭和二八年一〇月

一日本件土地について締結された原判示売買契約につき、被上告人らの手附倍戻し

により解除されて終了したと主張して、右売買契約が存在しないことの確認を求め

るというにあるが、単に右請求のみでは、これを文言どおり解すれば右売買契約が

解除により効力を失つたことすなわち過去の法律関係の確認を求めるのと多く異な

るところがなく、これについて即時確定の利益のある所以を見出だし難い。被上告

人らとしては、確認の訴を提起するためには、よろしく右売買契約が解除された結

果生ずべき現在の権利または法律関係について直接に確認または給付を求めるべき

ものである。しかし、一方、本訴請求を被上告人らの主張するところに照らせば、

被上告人らは右のような現在の権利または法律関係についての確認を求めるもので

ある趣旨が窺えないでもない。従つて、原審としては、本訴請求についていかなる

理由で確認の利益を認めたかを明らかにするか、もしこれを認め得ないのであれば、

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被上告人らが現在の権利または法律関係についていかなる請求をなすものであるか、

その訴旨を釈明して審理をなすべきであるのに、これをなさず、直ちに本訴請求に

つき確認の利益があることを前提としてこれを認容した原判決は違法であつて、前

記上告理由に対する判断をまつまでもなく、破棄を免れない。しかして、本件は、

叙上の点についてさらに釈明して審理を尽くさせるため、これを原審に差し戻すの

が相当である。

よつて、民訴法四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決す

る。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 松 田 二 郎

裁判官 岩 田 誠

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